───シーン。
(…あれ?)
やっぱり、聞いたらあかんかったんかな。
さっきまで楽しい空気が流れとったのに、何やえらい静かな空気になってしまったなぁ。
「…雪さん、貴方は天然を通り越して阿呆ですか」
「ええっ!酷いです、山崎さんっ」
「そりゃあ、副長が苦労するわけだ」
「ちょっ、それどういう意味ですか!?」
うちは、ただ土方さんに質問しただけやのに。
何か納得いかんけど、ちょーっと気になって土方さんの顔を見てみる。
(…わあ、めっちゃ怖い顔してはるー!)
やっぱり、聞いたらあかん事やったんか。
眉間にいつも以上に皺を寄せて、腕組んで、しまいにはため息まで吐いてるやんか…!
あかん、話を任務に戻さなまた雷が落ちる…!
「ひ、土方さん!任務って、うちどういう仕事をしたらいいんですか!?」
「…ああ、密偵だ」
「桝屋にですよね?」
よし、土方さんが話にのってくれた。
この際、土方さんにさっきの質問は忘れて貰おう。
隣にいる山崎さんは、何か面白くなさそうにしてるけど取りあえず無視や無視!
「近頃、桝屋の店主と何人もの人が、夜更けに蔵で何かを運びこんだりしているみたいだ」
「まあ、怪しいですよね。蔵には頑丈な南京錠がかかっていますし」
夜更けに蔵で何かを運び込んでる。
しかも南京錠付き。
怪しいけど、何のために?
あ、それをうちが桝屋に行って探ってこればいいんか!
「それに、丁度桝屋は人員を募集しているみたいだからな。雪、お前は桝屋と蔵を探ってこい。…無理しねぇ程度にな」
「はいっ!任せて下さい!」
「山崎、雪を頼むぞ。一人で無茶させんなよ」
「御意」
よし、明日から早速桝屋に行かんと!
ぐっと拳を作ってみたものの、一つの疑問が生じる。
「土方さん?あの…、女中の仕事は…?」
「あ?んなもん両立させろ。お前、昼頃には終わってるだろうが」
「…ですよねー…」
ああ、一瞬だけやけど仕事が無くなると思ったうちが、阿呆やったわ。
土方さん、優しい人やろうけど、ほんまに鬼やわ…うち、明日から睡眠ちゃんととれるんかな…。
ま、でもこれで千春ちゃんを堂々と探せるし、別にええか。

