千春ちゃんの為、隊士さんの負担軽減の為にうちも出来る限りの事したかってん。


だって、毎日毎日ご飯作って洗濯して、買い物して…。


もちろん、それも大事なうちの仕事やと分かってるけど、うちだけ蚊帳の外にされてるみたいでちょっと嫌やった。


まぁ、隊士ちゃうしただの女中やし、仕事が貰えるとか全然思ってなかったなぁ。



「よし、いい返事だ」



えぇっ!?

土方さんがさっきから笑ってる…!


そういや、うち隣なんかに座ってるから距離近いし、余計に顔が熱くなるのはどうしたらええんやろうか。


もう、うちの阿呆!!

と、今更後悔し、顔が赤くなってるのが気付かれないように下を向こうとしたところ…、



「何このくらいで赤くなってんだよ」


「──っ!気付いてはったんですか!?」



グイッと顎を持たれて、顔を強制的に上に向けられる。

土方さんと目があって、さっきの嫌味を不敵な笑顔を付け足して言われた。


そんなことされたら…うち…、



「ふ、林檎みてぇ」


「~~っ!!」



土方さんの意地悪っ!!

鬼!


土方さんの腕を急いで振り払い、冷静になるために、今度こそ下を向く。


(…そんなことされたら、土方さんの事好いてしまいそうになるやんか…)


って、あかんあかん!それだけはあかん!

ただの女中やのに、この人一応副長さんやもんなぁ。


身分考えな、うん。

土方さんは一応副長さん、副長さん…。



「(何ぶつぶつ言ってやがんだ、コイツ)」


「(女中、副長、女中、副長…)」



あかんわ。

自分で考えとって、無性に虚しくなってきたからもうやめよ。