刀とは違う方向に顔を背ける。
あたしは死んでもよかったはずなのに、どうして昨日は怖くなってしまったのだろうか。
1人考え込むあたしをよそに、名無しさんと高杉さんは2人で話し出す。
「で?桂さんは、用事を済ませた後はあっちに戻るんだよね?」
「ああ、お前の計画通り動いているよ」
(………用事?計画通り…?)
どういうことだろうか、と顔を下に向けたまま思案を始める。
名無しさんが何かを企んでいる事はわかるのに、全然思い出せない。
(……吉田稔麿は、この時代で何をしたんだっけ…)
「晋作は、僕のこと止めないんだね」
「まあな。お前がやりたい道へ進めばいいさ。信念を貫き通すならな」
「そう。ま、後悔はしていないよ」
「そうじゃなけりゃ、俺はお前を殴ってでも止めてるよ」
クスクス、と名無しさんの含み笑いが部屋に響いているけれど、高杉さんは苦い表情。
計画通りなら、そんな表情をする必要なんてないんじゃないの…?
2人が何を考えているかは分からないけれど、あたしは何か聞き出せるかもしれない。
そして、それを彼等に──、
(……そういえば、あたしの必要性は無くなったんだっけ)
また、忘れてた。
駄目だな、最近気が緩みすぎているような気がするのは気のせいじゃないはず。
(……しっかりしなくちゃ…)
あたしは、これから1人で生きていくのだから。

