Give Me Smile―新撰組と氷姫―







「きゃ…っ!」



グイッと力強く引っ張られ、思わず両目を閉じてしまう。


(……あれ、背中が暖かい…?)

不思議に思って目を開けると……、



「──お嬢さん、油断しすぎ」


「な、名無しさん…?」



物凄く呆れ顔で、名無しさんに見下ろされる。


(……ん?見下ろされる…?)


背中が暖かくて、今度は名無しさんと距離が近いような…?

あれ、名無しさんがあたしの体を包み込むように座ってる…?



「──ぶはっ、もう無理!腹いてぇー!」



何がなんだかついていけない為、この現状を分析していると、高杉さんがお腹を抱えて大笑いし始めた。


ダンダン、と床を叩いて少し息苦しそうだ。



「晋作もいい趣味してるね。僕の千春を横取りしようとするなんて」



ギュッと、前に回された腕に力が込められる。


高杉さんは、何がおかしいのか大笑いしていて。


名無しさんは、すごく呆れ顔。


背中は暖かくて、

腕が前に回されている。



「───嫌…!」



やっと現状を理解したあたし。


(ど、どうして名無しさんに後ろから抱き締められているの…っ!?)



「ちょ、千春。暴れないで?」


「離して、あと名前で呼ばないで下さい」



あたしは、何故か高杉さんが近付いてくるのに必死で抵抗していて。


それで、もう駄目かと思ったら、名無しさんに力強く引っ張られていて。


それで名無しさんの腕の中にいる、ということは…?



(……一応、助けてもらったのかしら…?)