あたしがジィーっと高杉さんを見ていると、バチっと目が合ってしまった。
視線をずらすよりも先に、高杉さんに話し掛けられる。
「お、どうした?」
「……いえ、何でもありません」
「しかし嬢ちゃん、綺麗な顔してるな。名前は何て言うんだ?教えてくれよ!」
「…神崎千春です」
(……何かおかしい)
あたし、何にも高杉さんの興味を惹くような言動はとってないはずなのに。
気がついたら、高杉さんがあたしの目の前に移動している。
後ろは壁。
横は名無しさん。
逃げ場がないんだけど。
「なぁ、千春」
「……名前で呼ばないで──」
下さい、と続けたかったのに、言葉が詰まってしまう。
(……っ…!?)
あたしの顔の横に高杉さんの腕が伸びて、距離が急速に縮まる。
え、え!?
この人、何がしたいの…!?
高杉さんがすごく前のめりになっている間に、肩に手を置いて押し返しそうとするけれど、全然ビクともしない。
「お、そういう表情も出来るんだな」
「…言ってる意味がわからないんですけど…っ」
「焦ってる顔、可愛いぜ」
「──っ、や…っ!」
全身に鳥肌がたつ。
本気で力を込めてるのに、全然距離が開かない。
(……やだ、あともう少しで顔すれすれじゃない…っ)
高杉さんの吐息が頬にかかる。
本気で身の危険を感じていると、グイッと力強く引っ張られた。

