1件の未読メール。
前々から届いていたけれど、その前に届いたメールが期待はずれすぎて、何だか見る気が起きなかった。
前のメール内容は、確か……。
(……忘れちゃった。後で確認しておこう)
「……名無しさんには、関係のないことです」
「お嬢さん、そればっかり。…言っておくけど、昨日の話本気だからね」
(…昨日の、話って…)
名無しさんの声に真剣さが増して、目を反らすことが出来ない。
「…あたしは貴方が嫌いです。ですから、昨日の話はお断り──」
だから、さっさと断ろうと思っていた。
あたしが、名無しさんと結婚…?
(……そんなの、死んでも嫌だわ)
「ちょ、ちょっと待って!お嬢さん、僕のこと何も知らないでしょ?
せめて、僕を知ってから答えが欲しいな」
途中で話を遮られてしまった。
それに、条件もつけられている気がする。
何だか焦っているようだけど、あたしには関係ない。
「……嫌です。それから、さっさとこの部屋から出して下さい」
「それは、僕が嫌なんだけど」
「…は?ふざけるのも───」
ふざけるのもいい加減にしろ、と言おうとして、話を遮った。
名無しさんは不思議そうな顔をしたけれど、廊下からドタバタと足音が聞こえる。
そして、あたし達がいる部屋の前で止まったと思ったら、障子がスパッと開いた。
「稔麿、お前何処にもいねぇと思ったら…やっぱりこの部屋にいたのか」
「ああ、晋作か。おはよう」
高杉さんが部屋に入って来たと思ったら、大きな音をたてて名無しさんの前に座る。
何か、名無しさんに用があるのだろうか?

