「だが、本当に吉田って奴は気にくわねぇな」
「……同感です」
土方さんと一君から、何やら黒い影が見える気がする。
土方さんは、不適な笑みを零し。
一君は、怖いくらいの無表情で。
「吉田稔麿、俺達の仲間に手を出した事、絶対に後悔させてやる。
死んだ方が楽、ってくらいにな」
うわあ、土方さんが凄いこと言ってる。
いつもなら、この辺りでからかったりするんですけれど…。
「ま、当然ですよね。
その時は、僕もお手伝いしてあげます」
手加減なんてしませんし、情けも必要ない。
もし、千春さんに何かあればと思うといてもたってもいられない。
「総司、てめぇは駄目だ」
「どうしてですか?僕、結構苛々しているんですよ?」
「……あんたは相手を瞬殺する。それでは、必要な情報が引き出せないだろう」
あれ?
やっぱり僕の考えはお見通しなのだろうか?
でも、仕方ないと思うんですよね。
手を出したのが隊士ではなく、新撰組<ウチ>の大切な女中さんなんですから。
卑怯者は、あまり好きではないですし。
「その点は大丈夫です。
もし僕がすぐにやってしまっても、鬼の副長さんがいるので、きっと地獄にまで拷問をしてくれますよ!」
「お前、遠回しに何が言いてぇんだ?」
「え?ご想像にお任せします」
早く貴女を探して、助けにいきたい。
今頃、何を思って過ごしているのでしょうか?
膝を抱えて、恐ろしさに震えているかもしれない。
涙を流して、僕達の助けを待っているかもしれない。
いろんな『かも』が、頭中を駆け巡る。
「…土方さん、山崎さん達の情報が入ってきたら、すぐに知らせて下さいね」
「おう、任せとけ」
その夜、新撰組屯所のある一室だけは、灯りが消えることは無かった。

