きっと、間違えてもここに住め、なんて言わないだろう。
この時代には、攘夷派と呼ばれる武士達がいる。
新撰組に間者なんて送られてきていたら、相手の思うがままに情報が漏れていく。
きっとそれは、新撰組にとって、大きな痛手になるだろう。
「……千春君」
「…はい」
近藤さんが、あたしの処遇を決めたようだ。
沖田さんも、真剣な眼差しで近藤さんを見ている。
「君は、ここに女中として住みなさい」
「………は?」
「近藤さん、何言ってんだよ!?」
そうだよ。
どうしてあたしが、ここに女中として住まなきゃいけないんだ。
土方さん、副長なんだからもうちょい頑張ってよ。
「…千春君は住む場所が無ければ、帰る場所も無い……そんな女の子を歳は、放っておけと言うのか?」
「…いや、それはだな…」
「土方さんって、そんなに酷い人だったんですねー…なんだか幻滅しました」
2人に攻められて、だんだん険しい表情になっていく土方さん。
あたしはまた、沖田さんと会ったときのように、嫌な予感が胸の中を渦めいていた。

