数分待っていると、山崎さんや他の幹部達も遅れてやってきた。
場の空気はピリピリとしていて、この会議がどれだけ重要なのかを改めて確認する。
「では、報告を始めます」
山崎さんが、静かに話しだした。
(あぁ、やっと報告を聞ける…)
もし、これを聞いても状況が打開出来なければ…その時は、こっそりと抜け出して千春さんを捜しに行こうと決めている。
「神崎は買い出しの為に屯所を出た後、魚屋へ行っていたと思われます。
店主が証言をしていますし、おそらく間違いありません。
…問題は、その場に居たのが神崎一人ではなく、長身の男も一緒だった、という事です」
「長身の男、だと?」
「はい」
土方さんが気になったのか、話の途中で呟く。
店主の証言は抽象的過ぎるけれど、何か思い当たる事でもあったのでしょうか?
「男は、かなりの長身で細く、左目の下に黒子がある男です。
神崎に付きまとうように店を後にしたみたいで、村のはずれの方へ向かったようです。
そして、何故か現在使用されていない筈の寺院へ場所を変更したようで、その後の行方は現在分かっていません」
以上で報告を終わります、と言って山崎さんは皆さんの意見を待つように、口を閉ざした。
(まだ、千春さんが何処へ消えたかはわかりませんが、魚屋から目撃者がいないとなると…)
やはり、何処かへ誘拐、もしくは拉致られた可能性が高いですよね…。
「山崎、それは吉田稔麿である可能性が高いのか?」
「可能性はあると思います。
ただ、もし仮にこの事件の首謀者が吉田だったとして…神崎を攫った意図が分かりません。
それに、神崎を尾行していた監察方は傷だらけになって帰ってきました」
何かが起こっているとしか思えません、と山崎さんは話す。
(……確かに、千春さんは新撰組の女中ではありますが、それだけでは攫う目的にはならないはず…)
彼等の、目的は一体何だろうか。
確かに、千春さんは今でも謎が多い。
(………謎…?)
ふと、何か違和感が残る。

