山崎さん、まだ帰って来ないなぁ…。
自室前の縁側で、ボーッと夜空を見上げる。
雪さんには、まだ時期じゃないなんて言ったけど…我慢にも限界がある。
(朝になっても情報が無ければ…、その時は抜け出して千春さんを捜しに行こう)
なんて、ひっそりと考えながら時間を潰していた。
すると、門の方から何やらバタバタと騒がしい音がする。
(もしかして、帰ってきたのでは…!?)
そう思い、腰を上げて小走りで門へと向かうと、信じられない光景が目に入った。
「……う、ぐっ…」
「な…っ!?」
門には、血まみれで倒れている隊士がいた。
介抱している者に、声をかける。
「どうしたんです?一体、誰にやられたんですか!」
「沖田組長!そ、それが…、犯人が小柄な男と大柄な男と二人にやられたようで…」
小柄な男と大柄な男…。
抽象的過ぎてよくわからない。
傷が浅い者はいないか、と周りを見渡していると、背後から珍しく冷静な声が聞こえた
「──おい、それは本当か?」
「はい、他の隊士も似たような目撃証言をしています。副長」
土方さんが冷静とか…、ちょっと気味悪い。
どこか頭でも打ったのだろうか、と心配してあげてると、こっちを睨まれる。
「そうか。おい、総司!てめぇは早く俺の部屋行ってろ!会議を始める」
「え、もしかして…帰ってきました?」
「あぁ。やっとな」
わかりました、と返事をしてその場を離れる。
どうやら、山崎さんが帰ってきたらしい。
すたすたと早足で歩き、土方さんの部屋の障子を開ける。
「早いですね、一君」
「………ん、ちょうど通りかかったからな」
土方さんの部屋には、まだ一君しかいなかった。
一君の隣に腰を下ろし、土方さん達を待つ。
暫くすると、土方さんと他の幹部、そして山崎さんが集まった。
やっと、報告が聞ける。
内容によっては、屯所を抜け出して千春さんを捜しに行こう。

