千春ちゃんが、行方不明…。
そんなん信じられへんかったけど、日が沈んでも千春ちゃんは帰ってこーへんかった。
部屋の隅っこで呆然としていると、障子が静かに開いた。
「雪さん、夕餉ここに置いときますね。ちゃんと食べて下さいよ?」
「…あ、沖田さん。何かすいません。これ、ほんまはうちの仕事やのに…」
そこには、うちの分と思われる夕餉を持ってきてくれた沖田さんがおった。
今日の夕餉は、隊士の方達に作ってもらった。
改めて知った事は、千春ちゃんがおらな何にも出来ひん…。
大丈夫かな。
怪我してないかな。
ご飯、ちゃんと食べれてるかな。
さっきから、こんな事ばっかり考えてる。
うちがいくら悩んでも、どうしようもないねんけどな。
(…何にもやる気が起きひんなぁ…)
うちの顔色が悪いみたいで、土方さんが今日は休みにしてもらった。
ほんで、今沖田さんがうちの部屋に夕餉を持ってきてくれたんやわ。
「いいんですよ。雪さんはゆっくり休んでいて下さい」
「はい。……あの、千春ちゃんの捜索は…?」
今、一番気になってる事は千春ちゃんの捜索状況。
聞いたところで答えてくれへんかもしれへんけど、沖田さんは新撰組の幹部やし、何か知ってるかも。
(なんか、何でもいいから教えてくれへんかなぁ…)
沖田さんをふと見ると、苦笑いでこっちを見ていた。
「…すいません。まだ、僕自身も何も知らないんです。早く、千春さんを助けに行きたいんですけど…」
まだ、時期じゃないんですよ、と苦笑いで沖田さんが答えてくれた。
その時、沖田さんは無自覚やろうけど、右手の拳を強く握りしめてた。
(…あぁ、沖田さんも辛いねんな…)
「…わかりました。…なんか、すいません」
「え?僕、謝られる事言いましたっけ?」
クスクス、と笑いながら沖田さんは部屋を退室した。
(沖田さんに聞かんかったらよかった)
少し後悔しながら、夕餉をみつめる。
だって、あんな切なげな表情するとは思わんかったし。
箸を手に取り、煮物を一口食べる。
「……千春ちゃんのが、美味しいなぁ」
なんて思いながら、夕餉を食べた。
一刻も早く、千春ちゃんが見つかりますように…!

