あたし、もしかして自分で墓穴掘っちゃった…?
(……何やってんのよ…!)
焦っているせいか、さっきから失敗ばかりしている気がする。
「ねぇ、どうして?多分、こんな物どこ探したって無いと思うんだけど」
「確かに…。俺もこんな奇妙なもん初めて見たぜ」
名無しさん達に、追い討ちをかけられる。
どうしよう。
あたしは一体、どうすれば…?
「…………」
答えられずに黙り込んだままでいると、名無しさんが口を開いた。
「お嬢さん、答える事ができないの?」
「…………あたしの携帯、返して下さい」
「あはは、そんな事は聞いてないんだってば。でも、確かにコレは僕の計画と関係なさそうだなぁ」
「……じゃあ──」
返して、と言おうとしたところで、名無しさんが嫌な含み笑いをする。
何、何なの…?
名無しさんの考えている事が、全く分からない。
何を思ったかは知らないけれど、名無しさんが近くに寄ってくる。
「ねぇ、お嬢さん」
「……何ですか?」
名無しさんが近寄って来る度に後ずさったけれど、とうとう背中が壁に当たってしまう。
名無しさんはあたしと同じ目線でしゃがみ込むと、口を開いた。
「僕、君の事気に入ったんだ」
「………………は?」
「ねぇ、僕の妻になる気はない?」
「と、稔麿…!?」
(……………………え、どういう事?)
今、何だか幻聴が聞こえたような…?
「……頭、大丈夫ですか?」
「うわ、酷い言われよう」
「稔麿、待て!考え直せ!」
「ぎゃはは!お前、やっぱおもしれぇー!」
クスクス、と名無しさんが笑っている。
桂さんは、名無しさんの右肩を掴んで必死に止めている。
高杉さんは、名無しさんの左肩をバンバンッと叩いて豪快に笑っている。
あたしは、ただただ、目の前で起こっている光景を呆然と見ている事しか出来なかった。

