「…稔麿、考え中とはどういう事だ。だからあれ程、作戦を練った方がいいと何度も──」
名無しさんの飄々とした態度に我慢が出来なくなったのか、桂さんが説教をし始めた。
(……何だか、この人も面倒くさそう…)
ふぅ、とため息をついていると、高杉さんが焦ったように止める。
「ちょ、待てって桂さん!稔麿だって馬鹿じゃない。何か実行出来なくなった理由<ワケ>があるんだよ!」
な?と言って、桂さんを宥めている高杉さん。
ギャーギャーと、少し五月蝿い。
そんな二人を見て、何故か含み笑いをしている名無しさん。
(……あたし、って…。一応人質…なんだよね…?)
そう思ってしまうくらい、ピリピリとした空気が消えている。
「──ねぇ、お嬢さん」
「……何ですか?」
「そろそろ、はっきりさせようか。君は、本当にコッチに来る気は無いの?」
名無しさんの言葉に、騒がしかった二人は言い争いを止めてこちらを見る。
変な威圧感に一瞬目を反らしたけれど、あたしの意志が変わる事は無い。
「………絶対に行きません」
たとえ、どんな拷問を受けたって、死んでも口は割らない覚悟でいるのだから。
「ふ、頑固だね」
小さく笑って、何かを企んでいるような表情をする。
「じゃあ…」
小さく笑った後、名無しさんは自分の懐に手を入れ、何かを取り出す。
その何かを見た途端、あたしは大きく目を見開いた。
だって、それは──、
「──コレは、一体なに?」
「──ッ!!」
あたしの、ピンクの携帯だった。

