『千春!期待と予想は違う物なんだから。まだわからないよっ』
ああ、そうだった。
千香、いつも言ってたじゃん。……テスト終了後に。
どうして、彼等が来てくれた、なんておこがましい事を思ったんだろう。
あたしは、新撰組の一女中。
そんな人間、別に探す必要ない。
わざわざ、あたしなんかの為に、危険な橋を渡る必要なんて…、ない。
わかっていた筈なのに。
タイミングが良すぎて、少し浮かれてしまった自分を殴りたい。
男二人が部屋に入り、静かに座り…あたしをじとっと見ている。
大柄な男は、楽しそうに。
小柄な男は、怪訝そうに。
「随分遅かったね。奴等に苦戦したの?」
名無しさんが、男二人に話し掛けた。
…苦戦?
何の事だろうか。
「あー、アイツ等しつこかったんだよ。ちょこまかと追って来やがって!」
「私の方は問題無い。すぐに撒いておいた」
「さっすが桂さん!晋作は相変わらず危なっかしいなぁ」
(……え…、桂?晋作…?)
もしかして…。
長州藩士、の?
あたし…、完全に死ぬじゃん。
こんな小娘に、顔と名前を見られておいて、殺さないわけがない。
「で?稔麿。結局コイツはどうするんだ?」
「うーん…。考え中」
晋作…、高杉晋作なんだろうな。
桂さん、と呼ばれた方は、桂小五郎。
高杉さんが言った言葉に、背筋がひやりとしたけれど、名無しさんの言葉に拍子抜けした。

