もしかして、長州藩士に何か動きがあったのだろうか?
いや、それにしては不自然な気がする。
「今朝、神崎に不穏な動きは無かったか?」
「千春さんですか?うーん…あ、そう言えば…」
今日は、何だかいつもより呆然としていたような。
夕飯の食材を買いに出かける際も、二度も報告をしてきていた。
だけど、それがどうかしたのだろうのだろうか?
もう千春さんを間者として疑っていないと言っていたから、きっと千春さんは悪くない。
(──もしかして…!!)
ハッ、と目が開く。
土方さんを見上げると、未だ渋い顔のまま。
「土方さん、千春さんに何かあったのですか!?」
「………」
「土方さん!」
何も答えない土方さんに、焦りと苛立ちだけが募る。
肩を両手で掴んで揺さ振ると、漸く口を開いた。
「……神崎が、現在行方不明なんだ」
行方不明。
その言葉を聞き、クルリと振り返って走ろうとする。
─ガシッ…!
でも、その前に土方さんに腕を捉まれた。
苛々して、振り払おうとする。
「離して下さい!千春さんを捜しに行くんです!!」
「馬鹿野郎、落ち着け!神崎は山崎達が捜してる。今は作戦を立てるべきだ!!」
「千春さんが危ないんです!今にも──!」
今にも、千春さんの命が消えるかもしれない。
そう言いかけたところで、冷静な声が背後から聞こえた。
「──総司、落ち着け」
「……一、君…」
一君が、静かな怒りを醸しだしながら、言葉を発していた。

