言った言葉に、後悔なんてしていない。
寧ろ、胸の中にあったつっかえが取れたようで、爽快感に似た気持ちだ。
「傷つけたくない、か。随分堂々と言ったね。何か考えたみたいだけど?」
ふぅん、と呟き、嫌な含み笑いをする。
名無しさんはあたしが言葉に詰まると思っていたのか、予想が外れたみたいで皮肉を言ってくるのがうざい。
……やっぱり、名無しさんは嫌いだわ。
あの人と、同じような感じがするから。
「……思った事を言っただけです」
ずーっと、いろいろ考えてた。
いつ死ぬのかな、とか。
いつ殺されるのかな、とか。
いつ、利用されて棄てられるのかな、とか。
間者としての疑いは、いつ晴れるのか、とか。
仕事中、ボーッとしていた時等、ずーっといろいろ考えていた。
新撰組で女中の仕事をしている時は、いつも監視されているのだろうな、なんて考えながら仕事をこなしてきた。
だって、あたしは身元不明で情報がない怪しい人間。
そんなあたしを、女中として雇ってくれるなんて、何か引っ掛かる事でもあったのだろう。
…まぁ、彼等と初めて会った時、あたしはウェディングドレスを着ていたから、疑うのも無理はないんだけどね。

