「お嬢さん、名前を教えてくれない?」
「……味噌と塩は買ったし…あ、お醤油…」
うーん…あと野菜に魚。
大根とか、あと山菜は欲しい。
魚も、鰯とか鰤もね。
今思えば買う物多いし、明日も町に来ないといけないな。
でも最近、仕事を休みがちだから、もっともっと働かないと。
スタスタと歩きながら、どのお店で買おうかな、と悩む。
「お嬢さん、聞いてる?ねぇってば!」
「……………何か用ですか?」
「僕、ずーっと話し掛けてたじゃない。無視は酷いと思うな」
ああ、もう。
どうして町に出たら、名無しさんに会うわけ?
面倒くさい。
雪さんを連れてこればよかった。
それに、名無しさんったら、あたしに付きまとって何が楽しいのかしら。
スタスタと歩きながら、横を勝手に歩いている名無しさんには目もくれず、一件の魚屋さんを見つけた。
「いらっしゃい!ゆっくりと見ていってなぁ」
元気なおじさんの掛け声を聞きながら、店内へと入る。
どの魚にしよう?と悩んでいると、名無しさんが眉をしかめていた。
「お嬢さん、魚屋はこれくらいにして、違うとこ行こうよ」
「………どうぞ、名無しさんだけ消えて下さい」
「うわ、いつにもまして酷いね。僕、魚苦手なんだよ。食べるのは平気だけど」
「………店主、この鰈ください」
「毎度おおきに!」
ああ、面倒くさい。
いつもなら、買い物はストレス発散も兼ねているから楽しいのに。
名無しさんのおかげで、全然楽しくない。
逆に、ストレスが蓄積されていく感じがするわ。

