「千春さんは、私が連れてきたんです」
「勝手に連れてきてんじゃねぇよ!屯所は女人禁制だって知ってるだろうが!!」
今目の前にいるこの人が、新撰組鬼の副長、土方歳三。
顔は沖田さん同様、整っていて、美形だ。
沖田さんは女っぽいけど、土方さんは男らしい顔つき。
いろんな女性から恋文を貰ったのも、なんだか納得がいく。
「いいじゃないですか、土方さん。だって千春さん、帰る場所がないんですよ?」
「だってじゃねぇ!もしこいつが長州の間者だったらどうすんだよ!?」
……納得がいくけど、鬼の副長っていうのも納得がいく。
だけど、どうしてこんなに声がでかいのか。
あたしには、理解不能だ。
「お前は何処の出身だ。正直に言え」
突然話を振られて少し驚く。
やっぱり、疑われて殺されるんだろうか。

