そもそも、どうして過去吸なんか…。
傷を見たって、ただ眺めて終わりだったし、着替えているときに自然と視界に入っていたのに…。
「…ふっ、はあ…っ」
「………」
ゆっくり、ゆっくりと戻っていく呼吸に合わせてくれているのか、あたしが息をする度に斎藤さんの胸も上下する。
…偶然、だろうか。
斎藤さんって、なんだかお母さんみたい。
「……今日の仕事は休め。俺から言っておく」
「……え…、いい、です。あたしやります」
「…その身体では無理だ」
「……っ」
そんな事ない、って言えなかった。
だって、今迷惑をかけてるじゃない。
これ以上、迷惑なんてかけられないよ。
只でさえ、身元不明の女を新撰組の女中として置いてもらっているのに…。
仕事も出来なくなってしまったら…、あたしの存在価値がなくなってしまう。
「…いいな?」
「……はい」
嫌だ。与えられている仕事を、完璧にこなせないなんて。
嫌だ。人に迷惑をかけるなんて。
嫌だ。あたしの存在価値が、なくなってしまうなんて。

