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そんなわけで、今に至る。
「ご、ごめん千春ちゃんっ!」
「……どうして桶ごと…」
「や、あんなぁ、桶でいっぱい水汲んで、一気に撒いたら涼しくなるかなぁ…って思ってん」
「……」
……地面に水溜まり作る気か。
はぁ…とため息を溢し、とりあえず裾の水を絞る。
扇子はかろうじて無事だし…今すぐ着物を着替えて…。
「………携帯」
「へ?け…?」
「……独り言です。気にしないで下さい」
「うん?わかった!」
雪さんに水撒きはしないで、と伝えてから部屋へと戻る。
(廊下も拭いたのに…また濡れちゃった)
はぁ、とため息を吐くと障子を開けて部屋へ入り、すぐさま携帯を取り出す。
パカッと携帯を開くと、ちゃんと電源がついてホッとする。
「……あ」
携帯の画面には『新着メール1件』との文字が。
(……何が書かれているのだろう)
…でも、今はメールより着替えて廊下を掃除しなきゃ。
それからでも、遅くはない。
携帯を閉じて、着物を脱いでいく。
肌にべったりとくっついていて、気持ち悪い。
着物を半分くらい脱いでいくと、素肌が露になっていく。
ふと、右肩に目を向けると、背中の真ん中辺りまでの古傷がある。
その傷と、右の鎖骨辺りにも古傷がある。
これは、あたしの戒め。
白石千春、神崎千春、としての…。
「……っ、はぁ…!」
ドクンッ…!
ドクンッ…!
急に息ができなくなり、その場に胸を押さえて膝をついた。

