「あ…っ!!」
「…………」
「ごめん、千春ちゃん…」
「……………はぁ…」
ポタポタ、と髪から滴が落ちて地面に染みを作っていく。
かろうじて着物の裾に入れていた扇子は…少し湿ったくらい。
これくらいならば、乾かせばまた使う事ができるだろう。
何故、あたしが全身びしょ濡れなのかというと…原因は全て雪さんにある。
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原田さんが縁側を離れた後、あたしは結局雪さんの分の洗濯を手伝う事になった。
『よっしゃ!千春ちゃん、これで最後やわ。ほんまおおきに』
『…いえ』
先程、最後の隊士の服を干し終わり、あたしは一足先に縁側へ戻っていた。
(暑い…こまめに水分摂取しないと、熱中症になる…)
さっそく扇子を取り出して風を送っていると、雪さんも疲れたような表情を見せながら、あたしの隣にストンと座った。
『暑いなぁ…溶けそうやわ』
『……』
『あ!せや、千春ちゃん。水撒きせぇへん?』
『……面倒です』
どうして今は休憩中なのに、陰から炎天下の中を歩かないといけないの?
……面倒だわ。

