「うわぁ、全部色がついていて綺麗ですね!」
「……そろそろ、返して下さい」
あれから、沖田さんは写真を数十枚は撮っている。
だけど、あたしに返してくれる気はないようで、返してと言っても笑顔が返ってくるだけ。
…あたし、そろそろ朝ご飯作らないといけないのに。
また、昨日みたいな失敗は許されないんだから、早く返してほしい。
「……あたし、そろそろ仕事なんです。携帯、返して下さい」
「えー…あっ、そうだ!」
沖田さんは一度渋ると、ニコニコと笑ってこちらに駆け寄ってくる。
なに、なんか…。
とてつもなく嫌な予感しかしないんだけど…。
「千春さん!最後に2人で撮りましょう!」
「…遠慮しておきます」
「そうと決まったら、土方さんか一君を起こさないと…。千春さん、どっちがいいですか?」
…どうしてこうなるの?
沖田さんに携帯を貸すんじゃなかった…。
あたしはガクリとうなだれてため息を吐き、沖田さんは携帯を片手にニコニコしている。
「んー…一君は可哀想なので、土方さんを起こしてきますね!」
「……やめて下さい。土方さんはお仕事で疲れているんですから」
朝早くから土方さんを起こしに行く気満々な沖田さんの着物の裾を掴んで止めた。
沖田さんは納得いかない顔をしているけど、そんなの関係ない。
これだけの理由で土方さんなんかを起こしたら、すごい剣幕で怒鳴られそう。
沖田さんは面白がるけど、あたしからしたら…とばっちりがくるのは目にみえている。
(…そんなの、御免よ)
沖田さんは一度言ったら引かない頑固者。
あたしが折れるしか、とばっちりを受けない方法はない。

