結局メールを読む事なく、沖田さんに携帯を渡す。
(気になる、けど…朝より夜のが読みやすいかな)
それに、また誰かに見つかったら面倒だ。
沖田さんは携帯を持つと、驚いた表情であたしを見た。
「案外軽いんですね…。もっと重いと思っていました」
そう言って、沖田さんは携帯をジーッと観察し、開いたり閉じたりしている。
そして、恐る恐るといった感じで、ボタンをポチッと押した。
「うわぁ…っ!?光景が変わりましたけど…僕、壊してませんよね?」
「……大丈夫ですよ」
ほっと息を吐く沖田さんは、メニュー画面のまま止まっている。
それからまたボタンを押しまくっているんだけど…何か目的があるのだろうか…?
「〜っ千春さん!これって、ほとがら撮れましたよね!?一体どうやってするんですか!?」
「……ちょっと、貸して下さい」
ほとがら…。
写真を撮りたかったんだ。
江戸時代では、写真一枚撮るだけで何時間もかかっていたんだっけ。
そりゃ、いろいろ撮ってみたくなるもの…なのかしら?
あたしは携帯を受け取ると、メニュー画面を開き、カメラ機能にしていく。
隣では、沖田さんが食い入るように携帯の画面を見つめている。
「……この状態のまま、この丸いボタンを押せば、自動的に写真が撮れます」
「本当ですか!?少しだけ撮ってみてもいいですか!?」
「…どうぞ」
また沖田さんに携帯を渡すと、沖田さんは適当に写真を撮っていく。
…朝だけど、時間は早いからシャッター音はそんなに響かない…はず。

