あれから一応晩ご飯は済ませ、今は食器を洗っている。
だけど、いつもの集中力が続かず、いつものスピードの半分も出ていない。
「……はぁ…」
「ま、まあまあ、千春ちゃん!そんなに落ち込まんでも…。な?しょうがないって!誰だって失敗するんやから」
「……ふぅ…」
「千春ちゃぁん…」
雪さんが何か言ってくれてるけど、何の気休めにもならない。
(…ああ…やっぱり晩ご飯の時間が大幅に遅れてしまった…)
そうなのだ。
いつもの晩ご飯の時間が一刻ほど遅れてしまったのだ。
こんなにも大きなミスをしたのは初めてだからか、特に誰にも咎められる事はなかった。
…けれど。
(…平隊士の皆さんの視線が痛かったな…)
「千春ちゃん、今日は駄目でも明日はあるんやから。明日また挽回したらいいやん!」
「……はい」
「うわぁ、いつにも増して暗い。暗いで!千春ちゃんっ」
あはは、と笑いながら雪さんは慰めてくれるけど、口が動いていたら手が動いていない。
(…雪さん、ありがとうございます)
感謝の言葉は、雪さんが一人前の女中になってから言おう…かな。

