原田さんはきょとんとした後、豪快に笑ってあたしの頭に手を置いた。
「ちょ…っ」
何するんですか、と言おうと思ったのに、頭の上にある手が左右に揺れる。
(な…っ!?)
最早言葉も出ず、原田さんの思うがままに頭を撫でられ続けている事にした。
「ああ、いいぜ。もしもの時は俺が上手く言っておいてやるよ」
「……ありがとうございます」
一安心して、ほっと息を吐く。
これで晩ご飯のバランスが偏らなくてすんだ。
「いいってことよ!あれだろ?今日の晩飯で使うんだろ?」
「……はい。今日は…鰺の塩焼きですから」
「おっ!いいねぇ。酒もよろしくな!」
「……程々にして下さいね」
あたしが献立を言うと、原田さんは嬉しそうに笑う。
もう夕刻になっちゃうから急がないといけないので、ペコリとお辞儀をして早足に歩いていく。
門を出て空を見上げると、かなり夕日が傾いてきていた。

