そんなわけで、雪さんは料理している間はあたしの見習いになってもらっている。
主に、雑用なんだけど…時間が空いた時には、盛り付けとか、簡単な物を作れるように練習中。
そして、雪さんが今度こそ持ってきてくれたのは塩だったんだけど…。
「…ちょっと少なない?」
雪さんがそういうふうに、量が全然足りない。
晩ご飯のメインは鰺の塩焼き。
あたしとしては、まず塩で魚の生臭さを取りたいし、青魚だからある程度の臭いは取らないと…。
(…しょうがない、買ってくるか)
あたしは軽く首を揉みながら、雪さんに指示を出す。
「……雪さんは、庭に干してある洗濯物を取り込んでいて下さい。…あたしは、塩を買ってきます」
「うん、わかった!…あ、でも、もう後少しで夕刻やで?」
「……多分大丈夫です。…幹部の方か土方さんに一言声をかけますから」
「そっか!ほな、うちは洗濯物取り込んでくるわ」
そうニコニコと笑って、雪さんはお台所から出て行った。
…あたしもさっさと誰かの許可を貰わないと。

