とてつもなく不愉快な思いをした日から数日…。
あたしは名無し男なんて忘れるくらい仕事に励み、今は晩ご飯の仕込みをやっている。
「……雪さん、お塩とって下さい」
「うんっ。塩、塩…。あ、千春ちゃんどーぞ」
雪さんに料理になんかさせたら、大変な事態になる事がわかった。
…変な色のご飯になるし、次の日隊士達がお腹を壊してしまった。
これでは隊務に支障が出るから止めてくれ、と近藤さんと土方さんにも言われたくらい。
……ま、2人ともお腹壊していたみたいだしね。
料理を作っている過程を見ていたあたしは、当然口に入れなかったけど。
はい、と雪さんが持ってきてくれた物を指で摘んで口に入れると……甘い。
「……これ、砂糖です」
「嘘っ!?…あ、ほんまや。これ甘いなぁ」
ほのぼのと塩、塩と探す雪さんに他意はない。
本気でこんなあり得ないミスをするので、誰も本気で怒れないのが現実。

