あたし、自分でお金持ってきたのに。初めて自分で稼いだお金だったのに…。
「うん、やっぱりその扇子は千春さんに似合ってますね!」
「……ありがとうございます」
沖田さんの屈託ない笑顔を見ていると…なんだか諦めに似た気持ちになってくる。
もう、いっか。
別に、お金を使う機会はまた出てくるだろうし。
でも…。
あたしは沖田さんを見つめる。
「……沖田さん」
「はい?何ですか?」
「…納得がいかないので、何か買わせて下さい」
そうあたしが言うと、沖田さんは…。
「─あっはっはっは!!」
…何故か、お腹を抱えて大爆笑された。
意味わかんない。
それに、あたしだけ貰ってばっかり、っていうは正直いい気分じゃない。
「っあー、すいません。ははっ…では、また一緒に甘味食べに行きましょうか」
まだ笑いが収まっていない状態で、沖田さんは若干涙目になりながら言う。
あたしはコクリと頷いて、念のためにまた呟く。
「……その時のお勘定は、あたしが払いますから」
…何故か、これを言った瞬間も、沖田さんは大爆笑していた。

