組長である沖田さんが仕事をサボったら、下の人に示しがつかないんじゃ…。
「千春さん、お買い物ですか?」
「……はい」
「へぇ。あ、その扇子買うつもりなんですか?」
素っ気なく返事をしても、沖田さんは慣れているのか、気にせず話を続ける。
こんな話より巡察行かないと…。
「綺麗ですね。あ、僕が買ってあげます!」
「…結構です」
「何でですか?千春さんには普段からお世話になってるんです。贈り物くらい、させて下さい!」
「……いや、あたしの仕事ですから。…それに、巡察は──っ!」
言葉が遮られ、あたしの手の中にあった扇子は沖田さんの手の中へ。
そして、止める暇もなく…。
「あのー、この扇子1つ下さい」
「…ちょ、沖田さんっ」
「あいよっ!お、嬢ちゃんに贈り物かい?良かったねぇ!」
まるで流れ作業の作業のように勘定を済まし、またあたしの手の中へ戻ってくる。
…何これ。
何故か流れで沖田さんに買ってもらってしまった。

