まさか、

(間者じゃない、って信用し始めたとか…?)


悶々、と座りながら考えていると、土方さんが口を開く。



「…斎藤だよ」


は?

一言だけじゃ分からず、首を傾ける。


「……斎藤さんが何か?」


「あいつと話し合っている最中、お前は間者である可能性が少ないって言われてな。討論した結果、お前は間者じゃねぇ、という事になったんだよ」


「………」



まさか、が当たった。

てか、討論でこんなにも土方さんを変えてしまう、斎藤さんが凄い。


驚きで少し固まっていると、土方さんが腕を組みながらフッと笑う。



「大体、てめぇも自分で間者じゃねぇって言ってたのに、何がそんなに驚く必要があるんだよ?」


「……いえ…信じられなくて」



そりゃ、驚くでしょう。

この時代の人に、信じて貰えるなんて思っていなかったし。



「…あと、お前が未来から来た、って言うのも信用するつもりだ」


「……!?」



思わず、絶句する。

だけど、土方さんは気にもせずに話し続けている。