「千春ちゃんっ!聞いて聞いて〜!!朗報やっ!!」
「……雪さん、もう少し静かにお願いします」
翌日、廊下を雑巾で拭いていると、雪さんが笑顔で走り寄ってきた。
…朝から元気だな。
…朗報、ってなんだろう?
「あんな、千春ちゃんの外出禁止が無くなってん!」
「……え?」
「あ、でもな、夕刻までには必ず屯所にいとかなあかんみたいやけど…。でも良かったなぁ!」
…これって、意味ない。
あたしを外出禁止にしたから、雪さんが来たのに、解除したら意味無くなるじゃない。
……どういう風の吹き回しなのだろう。
「これで一緒に出かける事ができるなぁ!千春ちゃん、何処行きたい?」
「……雪さん」
「ん?何〜?」
「……あたし、急用を思い出したので…床掃除、お願いしますね」
「え?え゛?千春ちゃん!?」
慌てて止めようとする雪さんにペコリとお辞儀をして、向かう先は土方さんの部屋。
(…そういえば、最近土方さんの部屋へよく行っているかも)
なんて考えつつ、早足で土方さんの部屋まで行き、声を掛けようとすると…。
──ガラッ
「……神崎か」
「……斎藤さん?」
部屋から出てきたのは斎藤さんで、中には勿論土方さんもいる。
何か話が終わったところなのだろうか?

