だんだん小さくなる神崎の背から視点をずらし、もう一度月を眺める。
……そろそろ、いいだろうか。
「……いい加減、出てきたらどうだ?」
そう呟いてから数秒後、後ろの障子が静かに開く音がした。
「…一君、やっぱり気がついてたんですね」
「……あれだけ気配があればな」
そこからゆっくりと姿を現したのは、剣を片手に持っている総司だった。
「久しぶりですね。一君とこうして話すのは」
「…ああ」
今、俺は廊下に座りながら月を眺めている。
すると真似をしたのか、総司も俺の隣に腰を下ろした。
が、神崎にここで待っていると言った手前動くことも出来ず、ただ俺達の間には静かな沈黙が流れる。
まあ、だからといって特に気にはしないが。
「…一君」
「……何だ?」
「…千春さんのこと、まだ疑っていますか?」
総司は視線を合わせることなく、問い掛けてきた。
……答えにくい質問だな…。

