Give Me Smile―新撰組と氷姫―






土方さんはあたしを見ると、あからさまにホッとしたような顔をする。


土方さんがそんな表情をすることは珍しく、こっちが驚いてしまった。


本当に、なにがあったのかしら。

土方さん、雪さんになにかしたのだろうか。


ボーっと立っているわけにもいかず、取り敢えず雪さんの隣に腰を下ろす。



「うるせぇな、これには神崎も了承してんだ。お前が口出しする事じゃねぇ」


「でも…っ。千春ちゃんがかわいそうやんか…!」



え、どうしてあたしの名前が出てくるわけ?

話がよく飲み込めないけれど、土方さんにお茶を差し出した。



「…土方さん。お茶、どうぞ」


「お、気が利くな」



渡したお茶をグイッと飲む土方さんを見つつ、隣にいる雪さんを盗み見る。


「………っ」


なにか納得できない、という表情で唇を噛んでいる雪さん。


…本当、なにがあったのかしら。