ふぅ、とため息を吐きながら、お茶の葉を急須に入れ、湯を淹れる。
そのあたしの動作を、穴が開きそうなくらい、ジィーと見てくる斎藤さん。
一体、何。
あたし、もしかして監視されてるとか…?
(……だけど、今までこんなあからさまに監視なんて…)
なんだか、腑に落ちない。
湯飲みを出そうと、棚に近寄ろうとすると、何故か斎藤さんも同じタイミングで。
「…あ」
「……」
取ろうとしていた湯飲みがたまたま被り、二人とも手を引こうとしたところで指が微かに触れた。
「……すみません。斎藤さん、これどうぞ」
「…すまない」
取ろうとしていた湯飲みを斎藤さんに渡し、代わりにその横にあった湯飲みを取る。
斎藤さんも、湯飲みを必要とするということは…。
「……お茶、淹れましょうか?」
斎藤さんの手元にある湯飲みを見ながら言う。
斎藤さんは、一瞬考えた後…。
「……ああ。よろしく頼む」
「…わかりました」
やっぱり、お茶飲みたかったんだ。
女中なんだから、言われたらするのに。
なんて思いつつ、斎藤さんから湯飲みを受け取った。

