なんで、雪さんと千香が重なって見えるんだろう。
意味わかんない。
意味わかんない、けれど。
「あぁ…腕疲れた…。休憩しよ、千春ちゃんっ!」
「駄目です。…ほら、あと少し」
腕が疲れた、と言う雪さんを励ましつつ、自分の分を終わらした。
そんなあたしを、雪さんはちょっぴり恨めしそうな表情であたしを見る。
「…手伝ってくれへん?」
「……、わかりました」
意味わかんない。
やっぱり、どこにも千香に似てなんかいないのに…。
雪さんの、笑顔を失いたくない、だなんて。
雪さんが洗った洗濯物をあたしが受け取り、干していく。
洗濯物を干しながら、思う。
あたし、どうしちゃったのかしら。
ふと、一生懸命に洗濯をしている雪さんをチラリと見ると、ニッコリと微笑まれる。
「どないしたん?」
「…いえ。何にもないです」
何にもない。
ほんとに何にもない、のに…。
千香が、離れない。
新しい女中さんの世話は、思っていたより…とてつもなく怠いかもしれない。

