「私を本当に食べない?」
永原から警戒心が取れない。
信用できないのは無理もない。
だって俺は連続殺人鬼の息子で、俺も連続殺人鬼なのだから。
でも信じてほしい。
「永原は俺にとって大切なビジネスパートナーなんだ。絶対に喰わない」
「もし食べたら?」
「死んでやる」
俺には永原を喰わない自信がある。
もし永原を失ってしまったら、女を喰らう事は非常に困難な事になってしまう。
そうなったら俺は死んだも同然だ。
「……判った。純を信じる」
「ありがとう」
心からの感謝だった。
「…これからあの女どうすんの?」
さっきの警戒心が嘘のように消えた顔で問う。
「まずは名前聞かないと」
俺は喰う女の名前や判る範囲の詳細を記録している。
棚に並べられている頭蓋骨の額部分には名前を書いたテープを張っている。
どれもが本名。
永原が言っていた“ルナ”では肉名にはならない。