先生の温かい手が俺の頭をなでる。 いい字を書いた時、いつも先生は俺たちの頭をなでてくれた。 大人になるにつれてその褒め方は恥ずかしかったけど、それでもうれしかった。 「初志貫徹というのは、とてもすごいことだ。普通はなかなかできない。 それを君は成し遂げたんだ」 「でも俺は、先生への憧れだけで書道家になりました。それは、不純な動機じゃないでしょうか…」 「僕にそこまで憧れてくれたのか…。ありがとう」 胸が震える。 まっすぐ伸ばした背筋が少しずつ曲がっていく。 うつむいて、しまう。