「本当に藤井先輩に恋愛感情はないの?」



真剣な表情。

祈るように見つめてくる瞳。

楠木さんは、十分可愛いし魅力的なのに、ファンクラブとかの会長して女の子たちを統制して、どうして藤井先輩に正面からぶつかっていかないんだろう。

どうして、素直に想いを告げないのだろう。




「どうなの?」



もう一度そう聞かれ、我に返った。



「私…恋愛とかあんまりよく分からなくて…」



「それでは答えになってません!」


「えっと…つまり…私は藤井先輩のことは好きだけど、恋愛感情じゃないっていうか、いい先輩というか、面白い先輩というか」


これで答えになったかな。


楠木さんは、「分かりましたわ。信じます」とそう静かに言うと、自分の教室に去っていった。