抜き足、差し足、忍び足で近づいて、先輩に声をかけた。



「先輩!おはようございます!」



「あぎゃあっ」





案の定、先輩は奇声をあげて飛び退いた。


本当藤井先輩って面白い。



「ななななんやねん!陽依かいな!めっちゃ驚いた」


先輩の顔が真っ青だったのが、徐々に赤くなり、紫色になった。


先輩の顔って面白い。

綺麗な顔立ちをしてるのに、顔をくしゃくしゃにして笑ったり、時には寂しい顔になったり。


ほかにはどんな先輩がいるんだろう…。



「先輩朝早いですね」



ただいま、7時10分。
普通の登校時間が8時半だ。


「俺はいつもこの時間に登校してる」


「そうなんですか」


「朝のなんや涼しい空気が好きでなぁ。夏はこの時間に登校してんねん」



なんか先輩らしい。


私は、涼しく朝の澄みきった空気をゆっくり吸った。