私ひまわり、あなたは花屋


 そんなこんなで目的地に到着。

「うん。ここね」

 縁に花をあしらった可愛らしいボードには確かに『fleur ciel』の文字。

 高低差をつけた陳列に始まり、ミニブーケ、小さな鉢もの、本日のおすすめなんていうのもあるし、値段の札の横には簡単な育て方まで書いてある。

 店内を外から見渡せる大きなウインドウはきれいに磨かれていて、看板の横にはラッピングや配送、その他目的に合わせたサービスの料金まで丁寧に書かれていて、これらを見るだけでこの店が良いお店だということがわかる。

 店内では忙しそうに店員さんが動き回っていて──

「あっ!?」

 と、思わず声が出る。

 だってそこには、

「ん? いらっしゃいま──」

「無愛想の人!!」

「あん?」

 そう、昨日の男の子がエプロンを付けて仕事をしていたのだ。

「なんなのアンタ、いきなり」

 しまった、と思ったけれどときすでに遅しというやつで。

 不機嫌オーラ全開で歩み寄ってくる彼。

 ど、どうしよう。

 はっ!?

 そ、そうだ!

「あ、あのこれ!!」

 とっさにお肉屋のおじさんにもらったメンチカツの入った袋を突き付ける。

「むっ。このにおいは……」

 鼻をひくひくとさせて袋を手にした彼は、

「そこ入口。邪魔だから中に入ったら?」

 相変わらず無愛想だけれど、どうやら“餌付け”は成功したらしい。

(おじさん、ありがとう!)

 心の中で安堵の涙を流しながら、そうして私は無事?彼と再会を果たしたことに喜びを──いや、むしろなんだか後悔しそうになっていた。