「ただいまー!」
飛鷹家に着いた頃には、日がすっかり落ちて空はうっすらとしていた。
「おまえらどこまでほっつき歩いてたんだ」
玄関で靴を脱いでいると、親分が出てきた。
厨房以外で親分を見るのは初めて。
「あ!お弁当箱買ってきましたよ!」
「そうか、偉いな。見せてみろ」
「ちょっと待ってください」
あたしは手に持っていた袋を床に置いて、しゃがみ込んで中を探った。
どこだったかなー?
「おっさん、俺お腹すいた」
「すぐ用意するからな。手ぇ洗って待ってろ」
「じゃあ先行くよー」
海里くんはしゃがみ込むあたしの隣りを通って、さっさと奥へ行ってしまった。


