唯一知らない人。 たぶん、この人が陽くんの帽子を被って出掛けたっていう“大河”さんだと思う。 「あーごめん。今のちょっとツボった」 「…いえ」 あたしは口の中の物をゴクンと飲み込んだ。 恥ずかしい、恥ずかしい。 「俺長男の大河、25歳です。よろしくね」 「よ、よろしくお願いします」 やっぱり大河さんだ。 大河さんはサラサラな黒髪を肩に付かないくらいに短くしている。 顔はやっぱり大人っぽい。 そのせいか大地さんに一番似ている気がする。