出掛かっていた涙が陽くんの一言で引っ込んだ。 だけどあたしは密かに陽くんの後ろに移動した。 だってやっぱり怖いじゃないか。 「あ?」 「弁当箱は学校始まるまでにちゃんと用意するから」 「ならいいわ。怖がらせて悪かったな。嬢ちゃん」 親分はさっきの笑顔を取り戻した。 でももうあたしは騙されない。 “優しい親分”なんてとんでもない。 もうその笑顔でさえ怖いよ…。 「…いえ」 あたしはここに誓おう。 ――厨房には二度と近付きません。