「今手ぇ離せねぇからこのままでいいか?」
「うん。いいよ」
そう言うと陽くんはあたしを見た。
あたしの出番って事だ。
本当ならあたしが親分に声をかけなきゃいけないのに。
陽くんが声をかけてくれたから、若干話がし易い。
陽くんは優しいな。
「こんな所からすみません!あの、あたし小柴潤と申します!しばらくこちらにご厄介になります!宜しくお願いいたします!」
怖いから言葉使いがいつも以上に丁寧になる。
親分はあたしが喋っている間、ずっと鋭い視線をあたしに向けていた。
手ぇ離せないんじゃなかったの!?
手ぇ止まってるし!
親分怖い!


