キッチン…、というか厨房には人相の悪いコックさんがいた。
それはもうヤクザの親分がコックさんのコスプレをしているみたいだった。
親分は夕飯の準備をしているみたい。
「ここは入んないほうがいいよ」
足を踏み入れようとしていたところを、陽くんがあたしの肩を掴む。
「へ?」
「あそこの強面コックに怒られる」
「…厨房入るべからず?」
「そゆこと」
あんな強面親分に怒られたら、確実にあたしの寿命が縮まる!
「…でも水飲みたい時とかは?」
「駿河(スルガ)さん…あー、あの人駿河さんっていうんだけど。頼めばいいよ。あと、厨房使ってない時は入っても大丈夫」
うん。
とにかく親分は気難しそう。


