「…お前も」
「へ?」
「…お前も……出てけ」
颯先輩はあたしに背中を向ける態勢に変えると、顔まで布団で隠した。
「でも…、駿河さんがお粥持ってきてくれるんで、それ食べて薬飲むまではいさせてください」
「……」
「コバさんとも看病するって約束したし」
「……」
「ダメですか?」
「……勝手にしろ」
「はいっ」
金髪の後頭部しか見えない颯先輩。
いつもはワックスをつけてスタイリングされてる髪も、今日は何もつけてないのかサラサラ。
布団の中で荒い呼吸をしてる颯先輩の頭を撫でてあげたい衝動に駆られた。
でもそれはさすがにあたしの理性が働いた。
ダメダメ。
そんなことをいきなりやったら変人だ。
普段気の強い人が弱ってるから、母性本能がくすぐられたんだな、きっと。


