颯先輩はあたしに一睨み利かせて、自分の部屋へと入っていった。
やっぱり苦手だ。
颯先輩が高校生時代はなんだか人気だったらしいけど。
あたしはその当時から颯先輩にはあまり関心がなかった。
この家に来る前に海里くんに感じてたように、颯先輩に対しても“一生関わりのない人”だと思ってた。
それがこんな風に関わっちゃって、正直自分でも戸惑う。
遠い存在の颯先輩とこうやって会話出来る環境は、何日経っても慣れないな。
ぼけっとしていると、カラの洗濯カゴを持つコバさんが二階に上がってきた。
「コバさん!洗濯物取り込むんですかァ?」
「そう!もうこんな時間になっちゃった!冷たくなっちゃってるかしら!?」
「あたしも手伝います!」
「あら、悪いわねェ」
「暇ですからァ」
コバさんはこの家で唯一の同性。
歳もお母さんくらいだし、やっぱり話しやすいなァ。


