「なんでコソコソしないといけないんだよ」


海里くんはゲームの電源を切ると、真っ黒な瞳を真っ直ぐあたしに向けた。


「なんでって…」

「別にいけないことしてる訳でもない」

「そうだけど…」

「だったら隠す必要ないと思う」

「でも…」


海里くんの言い分に筋が通ってるのはわかる。

だけど女の子の世界ってそれだけじゃないじゃない。

“嫉妬”っていう感情が良し悪しをわからなくしちゃう。

現にあたしはさっきそんな女の子の嫉妬に危険を感じた。

理屈は通らないんだよ。



「言いたいことがありそうな顔してる」

「あたし…」

「なに?」

「…ううん。なんでもない」



きっと海里くんに言ってもわからない。

そう思ったから色々文句を言うのをやめた。


もし今日大河さんが助けに来てくれなかったら、どうなってたかわからない。

だけどそれを海里くんのせいだと言うのも違う気がしてきた。

だってそれは女の子たちがやったことで、それこそ海里くんにはいい迷惑だ。