どうせポロッと言っちゃったんだ!

疎いってこれだから困る!

あたしも人のことは言えないけど、海里くんの疎さはハンパないと思う!

自分がモテ男だってことに気付いてるかも疑問だよ!



あたしが手に力を入れていると、慌てた陽くんがゲームを置いて止めに入ってきた。


「潤って!マジでやめろよ!」


そんな陽くんがあたしの手を掴んだから、あたしはようやくハッとして力を緩めた。

後頭部しか見えない海里くんは微動だにしない。

手にはゲームを持ったまま。


え?抵抗してないの?


「か、海里くん……?」


もしやもしや、落としてしまった?


「海里、大丈夫か?」


陽くんが心配しながら海里くんの顔を覗き込んだ。


「けほっ」


やっと動いた海里くんは苦しそうに何度か咳をした。

良かった。

落ちてはないみたい。


でも苦しそうな海里くんを見て、あたしに罪悪感が芽生えた。


「……ごめんなさい」