大河さんの豹変っぷりに声が出ない。
豪くんに大河さんが元ヤンだってのは聞いてたけど、実感がなかった。
こんなに優しくて爽やかで穏やかな大河さんには元ヤンの影を全く感じなかった。
なのに……。
何で今こんな風になっちゃってるの?
なにが大河さんを豹変させたの?
優しい大河さんはどこに行っちゃったの?
「潤ちゃん?落ち込んでるところ悪いけど―――」
大河さんはさっきよりは高い声を出した。
嗚呼、いつもの大河さんに戻って。
「――――俺は、一度こっちの本性見せちゃったらもう“優しい大河さん”には戻れないよ?」
ガーンって、それはもうガーンって頭の中で音がした。
ショック過ぎる。
あの曲者揃いの飛鷹家で一番頼りにしてたのに。
何で?
何でこうなった?
「俺嫌いなんだよね。弱いくせに自分でなんとか出来ると思ってる奴」
「……あたしがそうだって言ってるんですか?」
そう言うと大河さんは至近距離で意地悪に笑った。
「イライラの限界」
うん。
泣いてもいいですか?


